月夜に花が咲く頃に
「・・・・・・そっかあ。大丈夫?」


悲しそうに笑う翼。


なんとなく、気づいてるんだろうな。


翼はアホだけど、バカな子じゃない。


きっと、私の嘘に気づいてる。


それでも、私のそばで笑っててくれる。


ごめんね、翼。


私は、卑怯者だから。


あんたに全部話すのが怖いんだ。


私は翼のその笑顔に、笑い返すことしか出来なかった。







「じゃあ、今日はここまで」


ホームルームが終わって、みんながガタガタと席を立つ。


これから部活の翼と途中まで一緒に行こうと廊下に出ると、誰かと肩がぶつかる。


途端に、その人が持っていた紙束が廊下にばらまかれた。


「あ、ごめん!」


慌てて落ちた紙達を拾う。


それにしても、けっこうな量だな。


「す、すみません。ありがとうございます」


その子はビクビクしながら私から紙束を受け取った。


ショートカットのかわいらしい女の子。


私たちのことを不良だと思ってるのか、目を合わせようとしない。


その態度に嫌気がさしたのか、翼が苛立った声を上げた。


「ちょっと、拾ってもらってその態度はないんじゃないの。目ぐらいちゃんと見なさいよ!」


「ひっ、す、すみません、」









< 36 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop