偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
僕はショックを受け、ドバイに戻った。

「保…訊いてくれ!!杏花が…」

ドバイの中心街にある居酒屋で秘書の保と飲んでいた。
この辺りには日本食店が点在し、激戦区となっている。この居酒屋は食材を日本から直輸入し、ドバイに居ながら、日本と同じ味が楽しめるコトで有名で、現地に住む日本人たちに贔屓にされていた。
時々、偵察を兼ねて、ライバル店で食事をして、参考にさせて貰っていた。
杏花と別れ、ドバイに戻った僕。
今夜も偵察を兼ねて保と足を運んだが、杏花のコトで気が滅入っていた僕は酒を飲みすぎ、酔いのまま、保に自分の心情を暴露した。

「何だ?玲人」

「また…杏花がキレイになっていた…」

「そっか…杏花さんは今年で何歳だっけ?」

「・・・二十三歳だ…」

「そっか…女として一番キレイに見える年は二十代前半だからな…いわば、今の杏花さんは脂ののった最高級の大トロだ」

杏花は大トロ・・・

「杏花は大トロか…保にしてはいい例えだな…」

僕と秘書の村上は大学の同級生で同期入社。

父に誰か自分の片腕になるような社員を連れて行けと言われたので、本社営業部に勤務していた保を抜擢して、ドバイに同行させた。

保は僕の良き片腕、良き話し相手となっていた。





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