キミ、が欲しい
ガラッ!と開いたドア。
「やめろ…!」
血相を変えて飛び込んできたキミ。
ベットに座る拓海の胸ぐらを掴んだ。
「星那は渡さないって言っただろ!例え今は忘れてても俺が忘れねぇ…!俺がずっと覚えてる…!俺がずっと星那の記憶になるんだよ…!だから指一本触れるな!星那は俺の女だ…!!」
病室中に響き渡る声。
首をブンブン振られた拓海は目が回ってて可哀想。
「えっと……はいはい、ハル……うるさいよ?ここ、病室だから」
隣でそう言う私に「え?」と顔を向けるキミはもう今にもこぼれ落ちそう。
「ハルちゃん…苦しい」と拓海の声に慌てて手を離すもんだから病室に居る皆もクスクス笑ってる。
「え?皆…いつの間に…?」
キョロキョロ見渡し状況を把握しきれない様子だね。
「ていうか今……なんて?」
再び私を見つめるキミに一歩近付いた。
ついに頬を伝って落ちた涙……そっと拭ってあげる。
「イジワルしてごめんね?ハル……」
揺らいだ瞳からポタポタと流れる涙。
たまらず抱きしめた。
「大好きだよ、ハル……私が忘れるわけないじゃない」
ギュッと強く抱きしめ返されて嗚咽するキミの背中を優しくさする。
「いつ思い出してくれたの?俺……俺……生きた心地しなかった……」
「アハ、ごめん。本当は忘れてなんかないから……記憶喪失じゃなかったんだ」
「えぇっ!ひどい、うわーん…!」
大泣きするハルを皆がなだめてくれる。
ごめん、ハル。