キミ、が欲しい
【夏休み】



皆の協力もあって、ハルは無事に追試を突破した。



「本当、皆さんありがとうございます」



深々と頭を下げて皆にイジられてる。
ファーストフード店で追試組と一緒に終業式の後に打ち上げ?みたいなお疲れさま会を開いた。
麻衣子も梓もすっかりD組と馴染んでLINE交換してる。



「星那もしなよ!」



悪気なく梓が誘ってきたけどD組男子には一度断ってる手前……
ポテトをひとつ口に含み立ち上がる。



「ん、私は遠慮しとく〜」



ちょっとトイレと言ってその場を離れた。
「ですよね〜」と言うD組男子と
「ああ見えて純情なんだよね」と麻衣子の謎のフォロー。



トイレから戻ってきたら違う話題で盛り上がっていて、私も久しぶりに声出して笑ったかもしれない。
お店から出る時、他校の男子生徒らの声にあえて聞こえないふりしてたのに。



「え?めっちゃ可愛いじゃん」
「知ってる、N校の結城星那だろ」
「一緒に遊びたい!」
「ちょ、誰が誘いに行く?」
「N校とコンパしてぇ〜!」



本当はすぐにでもハルと手を繋ぎたい。
けど麻衣子たちもいるしハルだってテンパっちゃうかな。
なるべくグループでいる感じを出そうとしたけど。



「ねぇねぇねぇ!結城星那ちゃんだよね?」って背後から声かけてきた。
麻衣子たちも振り返っちゃって聞こえなかったことには出来なくなり。
仕方なく振り返ろうとした矢先。



「ごめん!星那、待った?」って横からハルが私の手を取った。
自分の方に引き寄せてくれて、まさかの前髪にキス………






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