キミ、が欲しい
「ハルはリレー以外出るの?」
帰り道、何気なく聞いたらビクッとしてる。
「えっと…200メートル個人メドレー、です」
「もしかして、泳ぎは得意じゃないとか?」
「いや、そうじゃなくて……結城さんに見られるとか、俺…」
ちっとも目合わせてくれないから腕の中に入って腰に手を伸ばす。
「なっ!なっ!どうしたの!?」
「ここまで密着しないと見てくれないから…」
「あ……見てるよ、ちゃんと」
「ていうか2人の時は星那でいいって言ったよね?」
「そ、それは……」
ギュウ…とそのまま抱きしめる。
「わ、わわっ!」
言っとくけど私、ハル相手なら周りに誰か居ようが関係ないから。
道路だってホームだってこうしてやる。
ん……!?
今まであまり気付かなかったけど、ハル……意外と胸板厚い。
筋肉ついてる。
「お、俺はどうしたら……」
「星那って呼んでくれるまで離れない」
通りかかる学生たちがチラホラ見てる。
え?結城星那!?って二度見されてるけど真っ赤なハルはまだ降参しない!?
「わかった……呼ぶからっ!」
腕の力を弱めて見上げるハルの顔。
かなり近めで聞けるチャンス…!
「せ、星那……明日頑張るから見に来てください」
ちゃんと目を見て言ってくれた。
それだけで尋常じゃないくらいドキドキしてるよ…?
こんなに嬉しいことないんだよ。
「はい…!」