女嫌い公爵との幸福なる契約結婚生活
その日アイリーンは、シュバルツの仕事が終わるまで、ノアとともに過ごした。

屋敷に上げて本を読み聞かせてやったりほつれた髪を梳いてやったりし、セドリックの用意してくれた甘いお菓子も一緒に食べた。

泣きべそをかいていたのが嘘のようにご機嫌のノアは、アイリーンの言うことに驚くほど従順だった。

アイリーンが日中ノアの面倒をみていたことを知るなり、シュバルツは焦ったように何度も頭を下げてきた。

だが、楽しそうな息子の様子に安堵もしたようだ。ノアを見つめる彼の瞳が微かに潤んでいたのを、アイリーンは見逃さなかった。

本当は、シュバルツもノアのことが心配で仕方がなかったのだろう。

とはいえ、自分たちの生活を支えるためには、心を鬼にして働かなければならない。

アイリーンは、シュバルツの複雑な心境を察知した。

そして、胸のうちで、ある決意をしたのである。
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