日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
失踪

如月組

「正信。」



朝の九時。
悠月は学校でいないし、
来客の少ないこの階はとても静かだ。



「へいへい」



正面のソファに座っていた正信が
近くによる。



怪我をして2週間が経った。



傷口はほとんど閉じたし動けるようになった。



「退院手続きをしなさい」



「だから、まだ」



「しなさい」



窓を向いたまま正信の方を見ない。



窓は開いておりすずしい風が流れ込む。



「分かった。」



正信が出ていったのを確認すると
窓の側へ歩く。



この2週間で体力も筋力も随分と落ちた。



無駄な2週間だったわ。



窓の外にはビルが立ち並ぶ。



緑に包まれた病院の敷地を抜けると
車が行き交う大きな道路、
その奥には様々な企業のビルがある。



ザッ!



ばりぃぃいーん!!!



私の頬が薄皮1枚破れ
後ろにあった花瓶が割れる。



2発目は窓ガラスに当たる。



ふふ、頬をかするなんて正信と
同じことをするじゃない。



でも、あなたは許さない



「東華!!!」



正信が慌てた様子で入ってくる。



「大丈夫。かすり傷よ」



「っ!!だから窓際にはたつなと!!」



『ビルはサンシティビル。
えぇ、3人よ。』



肉眼で打ってきた所を睨みつける。



人より発達した目は彼らの動きを捕える。
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