冬 -Domestic Violence-
『手荒な真似はやめてくださいね。』
「・・分かってますよ。」
って言っても、既に俺の両手は元カレ野郎の胸ぐらをつかんで壁に押し付けてるけど。
「ちょ・・ちょちょ急になんですか!?」
「俺がいつお前を疑った?
なにが“俺は殺してない”だてめぇ。
シオリの同僚、友達。
みんな涙を見せながら・・・嗚咽混じりに必死に俺達の質問に答えてくれた。
みんなその死を悼んで嘆いて、
やり場の無い気持ちを爆発させた!!
訳の分からん保身に走る暇があったら、
シオリの心を散々踏みにじったてめぇの過ちでも戒め・・・・!!」
『神野くん、そうじゃありません。』
「あ?」
『君の心情は同じ刑事として痛いほど分かりますが、
私が聞き捨てならなかった理由は少し違います。』
「どういう事だよ?」
「離してくださいよ!!
・・ゴホッゴホッ・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「警察だからって・・
こんな事していいのかよ!」
「・・・・分かった。聞いてみる。」
「・・・・?」
「おい坂本・・。
そもそも・・・・なんで俺がお前を疑ってるって思った・・?」