冬 -Domestic Violence-


左耳につけたイヤホンからも特に何もないし・・こんな所か。


改めて元カレ君にお礼を言ったところで、
一旦オオスカワ署に戻・・・





「刑事さん!」


「・・・・・・?」


「・・・確かにシオリには酷い事してきたかもしれないし、

3年8ヶ月も付き合ってれば俺の色んな事も、弱みもシオリは知ってる。

でも言っときますけど、
俺は殺してないですからね。

シオリに殺される事はあっても、
俺がシオリを殺す事は絶対無い。」


「・・・・・・・・・・・。」




『今の台詞は聞き捨てなりませんね。』





ようやく発せられた左耳のイヤホンは、
まさに俺が思った事だった。


散々聞かされた元カレ野郎の反吐が出る話に、イライラしていた血管がついに切れる。


コイツは成田とは全然違う人種だ。


何角形も作ってる点はあのチャラ男も同じだが、

いやむしろ本命を作らず無限角形を形成し続ける点、あのアホの方が酷いが、


成田の爪はコイツと違って綺麗に整えられ、
自慢話の節々に女性への尊厳を感じる。

< 104 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop