冬 -Domestic Violence-
左耳につけたイヤホンからも特に何もないし・・こんな所か。
改めて元カレ君にお礼を言ったところで、
一旦オオスカワ署に戻・・・
「刑事さん!」
「・・・・・・?」
「・・・確かにシオリには酷い事してきたかもしれないし、
3年8ヶ月も付き合ってれば俺の色んな事も、弱みもシオリは知ってる。
でも言っときますけど、
俺は殺してないですからね。
シオリに殺される事はあっても、
俺がシオリを殺す事は絶対無い。」
「・・・・・・・・・・・。」
『今の台詞は聞き捨てなりませんね。』
ようやく発せられた左耳のイヤホンは、
まさに俺が思った事だった。
散々聞かされた元カレ野郎の反吐が出る話に、イライラしていた血管がついに切れる。
コイツは成田とは全然違う人種だ。
何角形も作ってる点はあのチャラ男も同じだが、
いやむしろ本命を作らず無限角形を形成し続ける点、あのアホの方が酷いが、
成田の爪はコイツと違って綺麗に整えられ、
自慢話の節々に女性への尊厳を感じる。