冬 -Domestic Violence-
ようやく安堵したのか、
堰を切ったかのように中野が嗚咽を漏らす。
引き続き何を説教されたのか・・
気付けば正座をしたチャラ男もボロボロと泣きながら“すんません”を繰り返してるし、
小泉はこの状況に飽きたのか、ずっと事件のメモが書いてある手帳と睨めっこしてるし・・
ちょっとしたカオスなリビングになっていたが・・
俺も椅子に座って、
ぬるめのコーヒーをまた一口入れる。
「・・・・・・・・・・・。」
中野が殺していないとなれば・・
犯人は誰だ・・?
指紋を残すまいと手袋を使って犯行に及んだ点から、
これは衝動殺人ではなくて“計画殺人”。
しかもわざわざ凶器を使わず、自らの手を使って力いっぱい首を絞めてる。
そこには強い殺意を感じる・・。
となればシオリに恨みを持っていた人物、
シオリや中野の周りにいた人間のはずだ。
「・・・・・・・・・。」
・・友達・・・。
短大時代の友人、
エミリ、サヤカ、クルミ。
・・仕事関係・・・。
同僚のリエ。上司の永川。
・・その他・・・。
元カレの坂本ショウヤ。
中野の友人達。
玉子焼きの大将。