冬 -Domestic Violence-


「成田があの男に聞き込んだ時、

“隣の物音が激しい事はあったか?”
って質問したでしょ?」


「あ、はい。」


「それに対して、“物音というか怒鳴り声がしてた”って答えた事に疑問を持ったみたい。」


「・・・・どういう事っすか?」


「結果的にその怒鳴り声の主は上原さんだった訳だけど・・


『どうして303号室さんは“彼女の怒鳴り声”と補足しなかったのでしょうか?

もしかしたら、
中野氏を疑っていた小泉捜査官達に、

“彼氏がDVをしていた”と思わせたかったのかもしれません。』

って。

そこから・・
もし303号室男が犯人だった場合に、

考えられる犯行動機を推測したみたいで・・。」


「普段からお風呂で色々と吐き出してた行動に加えて、

DVが始まって更に悪化した“騒音問題”という考えに至ったって事っすか・・。

さすが・・警視庁で活躍する人達は発想力が凄いっすね。」



「あと・・・。」


「・・?」


「よく分かんなかったけど・・
『成田捜査官の才能に賭けた』って。」


「え!?オレ!?」


「うん。だから“成田はたまにしか役に立ちませんよ”って言っておいた。」


「ちょ・・相変わらずハルカさんは手厳しいんだよなぁ・・。」



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