間宮さんのニセ花嫁【完】
百瀬くんが楽しそうにしていると大抵大変なことが起こることが多いのだが……
そんな私の嫌な予感が的中するように、翌日家に百瀬くんがCMを務めたチョコレートが大量に届いて処理に追われたのであった。
その日、私は仕事が終わると家には直接戻らず、紗枝さんのお店を訪ねていた。
「飛鳥ちゃんお待たせ。この辺使えるかな」
「わぁ、ありがとうございます!」
テーブルに広げられた色鮮やかな和紙の数々。チョコレートを包装するラッピングに困っていたところ、紗枝さんがうちで使えるものがあればと声を掛けてくれたのだった。
「手作りするんだったらラッピングも自分でしなきゃ駄目なものね。どうぞ好きなもの持っていって」
「助かります。紗枝さんも正志さんにチョコレートあげるんですか?」
「ふふ、私たちの歳でもうバレンタインデーはね」
でも一応準備はしてるよ、と言われ湯飲みのお茶を飲んでいた私はゴキュッと茶を飲み込んだ。
「そうなんですか? もしかして千景さんも?」
「ごめんなさいね、こっちの話だから。千景は飛鳥ちゃんからチョコレートもらえるの楽しみにしてるんじゃない?」
「私に合わせてくれているような気もするんですけど」
盛り上がっている私のテンションを下げないように敢えて乗ってくれている気も。
しかし彼女は「そんなことない」と首を横に振った。
「この間仕事関係で顔を合わせたけど、嬉しそうに話してくれたわよ。飛鳥ちゃんがチョコレートを頑張って練習してくれてるんだって」
「え゛」