間宮さんのニセ花嫁【完】
「学生時代は甘いものは苦手だって言ってもらったチョコ、私と正志と三人で食べてたのよ。本当、いい意味で変わったね」
間宮さん、甘いもの苦手だったんだ。彼の昔話に花を咲かせながら、練習中のチョコレートにふとアレンジを加えてはどうかと考え付く。
それだときっと紗枝さんから頂く和紙のラッピングとも相性が良いはず。
「紗枝さんありがとうございます!」
「え? どういたしまして?」
絶対絶対、最高のバレンタインデーにするぞー!
バレンタインデーを三日前に迎えた日のこと、寝る支度を済ませ部屋でチョコのレシピを振り返っていると扉の奥から私の名前を呼ぶ間宮さんの声が聞こえた。
「悪い、今いいか?」
「大丈夫です!」
こんな時間にどうしたんだろう。壁に掛けられた時計の針は既に11時を回っている。
引き戸を開け顔を見せた間宮さんは寝巻きの姿で、彼ももう寝る前になのだと分かる。
「こんな時間に悪いな」
「どうかされました?」
「いや、寝る前に顔が見たくて」
「っ……」
恥ずかしそうにはみ噛んだ間宮さんにぐっと胸を掴まれる。うっ、なんて破壊力なんだ。
畳に敷いていた布団に座っていた私は「どうぞ!」と彼の為に隣を開ける。