新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 わざと、彼女が怒りそうな台詞で、小さくなる彼女に軽口をたたく。

「弟に惹かれる様を、近くで見ていたくないですよ」

「中村先生に似ていたから、省吾さんに惹かれたわけじゃありません」

「では、どこに惹かれたのでしょう。そういえば私は結婚した理由を言ったのに、結愛さんからは聞いていませんでしたね」

「そ、それは」

 慌てふためく彼女にクスリと笑う。
 そして、手を引いてベッドから起き上がった。

「朝食は一緒に作りましょう。私もレパートリーを増やしたい」

「え、ええ」

 私は彼女が別の方を向いている時に、告げた。

「弟に、私も必要かどうか聞いてみるつもりです」

「へ」

 気が抜ける声を出す彼女は、呆けた顔で固まっている。

「朝食、作りながらでいいので、私に惹かれた理由を聞きたいですね」

「え、ちょっと省吾さん?」

 先に歩いていくと、上擦った声を出す彼女が追いかけてくる。

 後ろから抱きついて、体に腕を回した。

「愛しています。省吾さん」

 幸せなため息を漏らし、彼女からの愛の囁きに応える。

「ええ。私も」

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