腹黒王子の初恋
「カンパーイ!」

 泰晴とシャンパンで乾杯する。

 いろいとりどりの料理に目をチカチカさせながらおいしい料理を楽しむ。こんな贅沢な料理初めて。

「よくこんなおしゃれな店を知ってたね。」
「まあ、俺顔広いし?気に入った?」

 窓から見える輝く夜景を見て微笑む。

「それに、このスイーツたち!最高!」

 コース料理の最後にスイーツ食べ放題がついている。しかもバイキングのように店にならんであるわけではなくて、注文して一つづつ持ってきてくれる。

「付き合って初めてのクリスマスだろ。特別なものにしたくてさ。」

 うっ。泰晴が甘く微笑む。内心焦りまくっているのを見透かされないように次の言葉を発した。

「泰晴いつもありがとう。実はスイーツそんなに好きじゃないでしょ。なのにいつも私のために。」
「何だよ。改まって。別に俺嫌いじゃないから。甘いの。だから、バレンタイン期待してるぞ。」
「バレンタイン?まだちょー先じゃん。ちょープレッシャーじゃん。」
「あはは。ちょー期待してるぜ」

 ちょーちょーをお互い連呼して笑う。よかった。泰晴と普通に話せてる。ふぅ。短いため息が出た。

 何個か目のスイーツをほおばりながら聞いたことのある声に無意識に目を向けた。入口付近。

「…くっ...な」
「…い...じゃ...こ...よや...は…ろ」

 何を言っているのかははっきり聞き取れない。でも、べたべたとくっつく女性と男性に驚き思わず席を立った。

「優芽?どうした?」

 いきなり立ち上がった私に少し驚く泰晴を見た瞬間、急に激しいめまいがして机に手を置いて支えようとしたがうまくいかず私は意識を手放した。

 「優芽‼!!」

 泰晴の私を呼ぶ声が微かに聞こえ、意識を失う瞬間、驚くゆうきゅんの顔が見えた。
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