ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
『あっ、クー・シーったら! 落ち着きなさい。まだ話は終わっていませんし、そのように行き当たりばったりなことをしてはなりませんよ!』

『大丈夫、僕がちゃーんと連れて行くよ!』

 話を聞かない白い子犬の妖精はフォーチュナの手にできた金の光の球を咥えると、江理奈の胸に飛び込んだ。驚いた江理奈は「ひゃあっ」と悲鳴のような声を出してモフモフを抱きとめた。

「クー・シーちゃん、フォーチュナさんがなにか言って……」

『とびきりオススメの世界に、僕と一緒に行こうね!』

 クー・シーは、小さな尻尾を振ってご機嫌だ。
 そして、そのままひとりと1匹は、金色の光の渦に包まれた。

 それを見たフォーチュナは、両手をわたわたさせながらクー・シーを叱った。

『クー・シー、あなたはまた勝手なことを! ああ、もう戻れないわ、江理奈さんにはわたしの加護を与えますから大丈夫よ、安全なところへ、それから、あなたは次の世界ではね、フェアリ……』

 フォーチュナが何かを叫んでいたが、途中から江理奈には聞き取れなくなった。
 そして、金の光に包まれて、江理奈は自分がどこかへと引っ張られて行くのを感じながら意識を失った。
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