ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「さすがはエリナだな! 遠慮なくいただくぞ」

 後見している子猫のせいで、すっかり『食いしん坊狼』になってしまったルディは、精悍な姿に似合わない激しい尻尾の振り方をしている。ナイフとフォークを肉球のついた狼の手で器用に操り、口の中にハンバーグを放り込むと「美味い! 今日も美味い!」と言ったきり、あとは無言でもぐもぐと料理を堪能していた。

 そして、ギルバートは。

「なんとも驚いた! これは、この肉料理は……」

 歯が衰えて、くたくたに煮込まれた肉しか食べられない老狼は、一口大に切ったハンバーグを口に入れると感無量といった風情で目をつむり、天を仰いだ。

「……美味い。美味いぞ。そして、ステーキなのに柔らかい。このような美味い肉を、再び食べられるとは……」

 そして彼は、残った歯でハンバーグを噛みしめて、口の中に広がる牛肉の旨味を何度も何度も味わい、うっすらと涙を浮かべたのであった。
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