花のようなる愛しいあなた
家康は静かに思案しながら策略を練っていた。
譲位式には将軍を出席させなくても、このわしが出席すれば義理は果たせるじゃろう。
そうすれば将軍は出席しなくても良い前例を作ることができる。
とりあえず来年の春辺りなら上洛して駿府を留守にしても大丈夫じゃろう…。
となると、護衛に各家から兵を徴収せねばな…。
旅路の行程などは上野に任せるとするか。
あとは式典の時の席次じゃのう……。

家康はこの時、政権から追い出した豊臣家の事を思い出した。
その後豊臣家は大仏復興事業に勤しんでいるくらいで他には別に何をするわけでもなく大人しくしている。

あの子供はもう成人して大きくなったじゃろうな。
どのように育ったことじゃろうか?
片桐殿の話では相変わらず母君の尻に敷かれ大人しく引き籠って女子供と遊ぶばかりの毎日を過ごしているらしいがのう…。

さて、どうするか。
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