花のようなる愛しいあなた
淀殿をイラつかせる知らせは続く。
勧修寺と入れ替わりに別の武家伝奏の広橋(ひろはし)兼勝(かねかつ)が書状を持ってやって来た。
徳川家では、秀忠の将軍就任を祝うため二条城で祝賀会を開催するという。
その招待状だった。
「ふざけんのもいい加減にしなさいよ!!!」
淀殿はブチ切れて広橋を追い返した。

この時代、呼ばれて出向くというのは立場が下の者が行う事であると認識されていた。
つまり、徳川家の城に出向いて祝賀会に参加することは、豊臣家が徳川家に降った事を世間に知らしめる事になる。
しかも不本意な秀忠の将軍就任を祝うなんて豊臣家にとっては屈辱以外の何者でもなかった。


「ふん、なかなか強情な女子じゃのう…」
家康は次の手を考えた。
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