花のようなる愛しいあなた
祖父の家康は仕事で忙しく、京近くの伏見城と江戸を往復する生活が続いていたが、ちょうど伏見で千姫の見送りに来てくれた。
「おお。お千!
しばらく見ないうちに、大きくなったなぁ」
家康は千姫を抱き上げる。
「おじいちゃん、おひげチクチクする!」
「おお、すまんすまん!
しかし、嫁入りするにはまだまだ幼いのう・・・」
家康は千を降ろし、父・秀忠と同じことを言った。
「淀おばちゃんにいじめられたら、すぐおじいちゃんに言うんだぞ?
おじいちゃんはお千の味方だからな」
「うん、わかった!
でも、おじいちゃんとよどおばちゃんはなかがわるいの?」
多喜が慌てて口を挟む。
「千姫さまっ・・・」
「ははは、構わん。
おじいちゃんは、淀おばちゃんのためにって思って色々とサポートしたりフォローしてるつもりなんだけどね、
どうやら色々と誤解されてるようなんだよなぁ」
家康は困ったように笑った。
「ごかい?」
「そう、勘違いなんだよ。
おじいちゃんがやったことが上手く伝えられなくて、それで淀おばちゃんは怒ってるんだ。
でもおじいちゃんは仲良くしたいと思ってる。
そう伝えてくれるかな?」
「うん、わかった!!」
千姫は元気に答えた。

伏見城で支度などを最終的に整えるため数日滞在することとなった。
「ねぇ、たき?
よどおばちゃんは、なんでおこってるの?
ごかいってなぁに?」
「おじいさまは、豊臣の秀吉おじさまからお願いをされて、秀頼さまが大人になるまでの間代わりに政治を任されているんですよ。
秀吉おじさまが亡くなった後は、豊臣家を乗っ取ろうと考える悪い家臣もいたんですけど、おじいさまはしっかり成敗して秀頼さまをお守りしたのですよ」
「おじいちゃん、ひでよりくんをまもってくれたんだね!」
「そうですよ、正義のヒーローなんですよ!
それでおじいさまがすごいっていうのが朝廷にも噂が広まって、おじいさまは征夷大将軍に任命されたのですよ。
きっと淀おばさんは、おじいさまが近くにいてくれないから不安なんじゃないかしら」
「ふーん?」
千姫はよくわからなかったが、淀おばさんはツンデレなのかな?と思った。
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