花のようなる愛しいあなた
「秀頼、屋根の修理ありがとう。
おかげで毎日濡れずに済んで快適になったわ」
秀頼はせめてもの御礼として寧々さんが暮らす高台院の屋根の修繕を行った。
「何なら建て替えもお任せください」
「無駄遣いはしないことね。
年貢が減ってるんだから」
「はい」
「一年ちょっと農業とか実践してみて、どう?
勉強になった?」
「そうですね、実際身体を使わないとわからないことは沢山あるのだと実感しました。
田畑の面積に対しての取れ高だったり。
来年からは所領を少し巡り、年貢の在り方を模索するのもやってみたいと思います。
京都に行く機会も格段に増えるでしょうし、またご指南ください」
「来年からはあなたも成人する年齢です。
色々あるでしょうから田畑(ここ)はもう小作人に任せて、あなたはあなたのやるべき事をやったら良いわ」
「はい」

今年も豊臣家の寺社復興事業は多くの実績を残した。
一年で、熱田神宮の再建、誓願寺の再建、生国魂神社の再建、東寺の観智院客殿の造営、石清水八幡宮の再建、金剛寺宝塔・御影堂・大日堂・大師堂の再興、安楽寿院多宝塔の再興、等持院の再興、南禅寺法堂の再興、北野経王堂の再興、醍醐寺御影堂・五大堂・如意輪堂の上棟、多向山八幡宮大塔の再建、真正極楽寺の再建を成し遂げた。
江戸城の普請にも人材を提供した。
慶長4年に勅命が下った東寺の再建を手掛けてから7年。
ようやく抱えていた工事がひと段落する。
来年はいったいどんな一年になるのであろうか。
秀頼は期待に胸を膨らませ、今年も祈りを捧げた。
< 68 / 170 >

この作品をシェア

pagetop