身代わり王女の禁断の恋
「つまり、アルフは私の身代わりをして
くれてた娘と恋仲になり、それを
クラウスたちが邪魔したから、2人で逃げた。
なのに、身代わりの娘に逃げられては
困るからアルフの王女誘拐にでっち上げて
逮捕した。
その上、彼を助けようとした身代わりの
娘を、王女の名を騙ったという本末転倒な
罪を押し付けて監禁している…と?」

私が指摘すると、クラウスは申し訳なさそうに下を向いた。

「致し方なかったのです。
眠ったままの王女殿下のお立場を
守らなければなりませんでしたから。」

はぁ……

「クラウス?
あなたが私を大切にしてくれているのは、
分かってるわ。
感謝もしてる。
でも、だからと言って、関係のない人を巻き
込んで、その上ありもしない罪に陥れる
なんて、見損なったわ。」

「………申し訳ありません。」

「すぐに2人を釈放しなさい。」

「いえ、でも、裁判中ですし… 」

あぁ! イライラする!

「裁判中でも、被害者は私なんでしょ?
私が誘拐されてないって言ってるんだから、
アルフは無罪!
その娘も、表向きは私の音楽の講師として
この城にいることになってるんでしょ?
じゃあ、私が、私の代わりに裁判の様子を
見てくるように言ったことにしなさい。
私の名を騙ったのも、私の指示。
それなら、罪にはならないでしょ。」
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