身代わり王女の禁断の恋
「母上、無茶言うな。
母上を名前で呼べるのなんて、父上亡き今、
兄上くらいしかいないだろ。
普通に大后陛下でいいじゃないか。」

うんうん。

私は心の中で頷く。

「ええ!? 嫌よ。
そりゃあ、たまに遊びに来るだけの
お嬢さんならそれでもいいけど、
違うんでしょう?」

大后陛下は思わせぶりにアルフを見る。

「はぁ……… 」

アルフは大きく嘆息してから口を開いた。

「はいはい、ちゃんと言うよ。
俺はクリスと結婚する。
以後、ご承知おきください。」

え、そんな簡単な言い方?

「はい。
かしこまりました。
クリス、よろしくね。」

「は、はい。よろしくお願い致します。」

私は焦って頭を下げるけれど…

ほんとに?

こんな簡単でいいの?

だって、結婚よ?

王位継承権第二位の王弟殿下の結婚よ?

うろたえる私を他所に話は進んでいく。
< 141 / 155 >

この作品をシェア

pagetop