身代わり王女の禁断の恋
「それで?
結婚式はいつ?」

「うーん、いつがいいかな。
早い方がいいから、春?
クリスは花が似合いそうだしな。
クリスはいつがいい?」

「え… あの… 」

軽く進む会話に戸惑う私は入って行けない。

「あ、すまない。
クリスは、母上とは初めてなのに。
うん、じゃあ、そういう大切なことは、
二人で話し合おう。
母上には、決まったら報告するよ。」

アルフはそう言って私の髪を指に絡めて遊ぶ。

「いえ、別に、その… 」

大后陛下が嫌だというわけじゃ…

私は、緊張のあまりうまく言葉にできない。

「いいんだ。」

そう言った後、アルフは声を潜めて囁いた。

「俺が早くクリスと二人きりになりたいん
だから。」

っ!!

吐息が耳に触れ、そんな事を囁かれて、私は何て答えていいものか分からず、俯いてしまった。

「アルフ…
あまりクリスを困らせないのよ?
まぁ、あなたの気持ちも分からないでも
ないけど。」

大后陛下が呆れた声を出す。

「もういいだろ?
クリス、俺の部屋に行こう。」

アルフは私の手を取ると、そのまま立ち上がった。

「じゃ、母上、詳細はクリスと相談して、
兄上の了承を得てから報告するよ。」

アルフはそのまま歩き出そうとするので、私は慌てて大后陛下に挨拶をする。

「今日はお目にかかれて、嬉しゅう
ございました。
どうぞこれから、よろしくお願い
致します。」

私が会釈をするのを見届けて、アルフは私を連れ出した。
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