身代わり王女の禁断の恋
「クリス、春が楽しみだね。
こんなに春が待ち遠しいのは、生まれて
初めてだよ。」

アルフは私の髪をそっと撫でてくれる。

「アルフ… 愛してる。
私には、あなたしかいないの。
ずっとそばにいてね。」

私がそう囁くと、アルフの髪を撫でる手が止まった。

「アルフ?」

私が顔を上げると、

はぁ…

と、アルフは大きく息を吐いた。

そして、そのまま私を膝の上からソファの上に下ろす。

何? 私、何かした?

「アルフ?」

不安になった私が、アルフを見つめると、アルフは困ったように目を逸らした。

「クリス、君は自分がどれだけ魅力的なのか
分かってる?」

え? 何?

私はよく分からないまま、首を傾げた。

「いいんだ。
クリスが悪いわけじゃない。
ただ、俺がクリスを愛しすぎてるだけ
なんだから。」

アルフは優しく微笑んで、立ち上がった。

「クリス、また明日、会いに来るよ。」

そう言われて、私も慌てて立ち上がる。

「もう、帰るの?」

私が見上げると、アルフはまた困った顔をした。
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