身代わり王女の禁断の恋
俺は城の若い下働きの少女を懐柔した。

「仕事はきつくない?」

俺がそう声を掛けると、彼女は俺を見知っているのか、ひどく畏まって後ずさりする。

「そんなに固くならなくていいよ。
俺の母親も、ここで君のように下働きを
していたんだ。
母もこういう仕事をしていたんだと思うと
つい気になって話しかけてしまった。」

少女の緊張を解き、俺は欲しい情報を手に入れる。

「俺は王女殿下の侍従のクラウスとは
昔からの顔馴染みなんだ。
君はクラウスとは話したことある?」

「いいえ。クラウス様とはお会いすることも
ございませんから。」

「そうなんだ。
じゃあ、侍女のなんていったかな?
いつも王女殿下のお世話してる… 」

「ユリア様でございますか?」

「そう、ユリア!
彼女とは親しいのかい?」

「いいえ。ユリア様もお見かけするだけで、
私どもとは話すことはございませんから。」

「そうなんだ。
じゃあ、いつまでも仕事の邪魔をして、君が
叱られるといけないから、もう行くよ。
また、君のことも含めて、いろんな話を
聞かせてくれないか?」

「っ! はい!」

俺がそう言うと、少女は頬を染めて仕事に戻っていく。
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