身代わり王女の禁断の恋
クリスの侍女はユリアというのか。

彼女をなんとか懐柔できれば…


俺は策を巡らせる。

もう少し、ユリアの情報が欲しい。

俺はユリアの情報を得るために、腹心の執事に依頼する。

執事は、色々な調整で王宮にも頻繁に出入りする。

執事によると、ユリアは32歳独身らしい。

裕福な商人の娘だが、母は男爵家の出で、男爵の姪として王宮勤めに来ている。

なんでも、若い頃に侯爵の息子と身分違いの恋の末、一度は婚約したが、結婚前に破談になり、以降独身を貫いているとのこと。

まぁ、そんな曰く付きの娘じゃ、余程本人に惚れ込んでないと結婚は難しいだろうな。


俺は執事に指示を出す。

ユリアを懐柔するようにと。

ユリアは少々の金で割とすぐに要求に応じた。

まぁ、こちらの要求が、「明日の午後2時から1時間、王女殿下の部屋を離れること」という簡単な事だったからかもしれないが。


俺は2時過ぎに、堂々と王宮に入る。

国王の弟である俺を見ても、珍しそうな顔はするものの、皆、詰問するどころか、話しかけもしない。

俺はそのままフルーナの部屋へ向かい、ノックした。

「はい、どうぞ。」

クリスの声が聞こえて、俺は扉を開いた。
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