身代わり王女の禁断の恋
「アルフを諦めて…という意味?」

私が尋ねると、クラウスは呆れたように答えた。

「あなたは何もお分かりではない。
諦めるも何も、あなたと王弟殿下とでは、
そもそも立場が違う。
今、諦めなくても、いずれ諦めなければ
ならないことくらい、いくらあなたでも
お分かりでしょう。」

それでも…

「クラウスが王女殿下のために一生を
捧げるのなら、私がアルフのために一生を
捧げても構わないと思わなくて?」

クラウスは、ため息をひとつ吐いた。

「いいでしょう。
今日は、そこで一晩、頭を冷やすのですね。
明日、また参ります。」

そう言い残して、クラウスは、またコツコツという足音とともに去って行った。
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