身代わり王女の禁断の恋
「頭の他には痛いところはありませんか?」

私が微かに頷いたのを確認して、ヨハネスは言った。

「王女殿下は、もうふた月以上眠ったままで
ございました。
お倒れになられる直前に毒を飲まれたようで
ございます。
幸い、発見が早く、解毒は出来ましたが、
ずっとお目覚めにならないので、皆、
心配いたしました。」

ふた月も?

毒… ?

私が… ?

分からない…

よく思い出せないけど…



「頭痛は、少しずつおさまって参るはずで
ございます。
何か心配なことはございませんか?」

心配なこと… ?

何かあったような…

でも、思い出せない…

「私ども、そばに控えておりますので、何か
ございましたら、お気軽にお申し付け
くださいませ。」

私は軽く頷くと、目でクラウスを探した。
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