※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。






「転校生、いろいろやばいわ」


SHR明けの休み時間、話題は言うまでもなくいわくつきの転校生についてでもちきりだった。


「まさか、ね~?」

「顔いいのにもったいなさすぎる……。顔だけなら、若葉高校でも圧倒的優勝なのになぁ」

「わかる!」

「──いや、どんだけ顔がよくたってナイでしょ。エンプロイドって時点で」


突然割り入った舞香のぶれない声が、活発に往来していたすべての意見を遮断した。


舞香はみんながあえて避けていた言葉を、吐き捨てるように口にしてみせた。


途端、水を打ったようにグループ内の空気が静まり返る。


「ね?」


……多分、意味は特になかった。

たまたま舞香を取り囲む輪の中で、舞香の正面に立っていたのが私だったから。

だけど舞香が小首を傾げて私に目を合わせたその瞬間、すべてを見透かされ、まるでなにか悪いことをしでかしたかのようなひどく後ろめたい気持ちになった。

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