※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


「げ」

「あ。はのんちゃん、おはよう」


そして、エンプロイドなんて論外。

カースト云々以前の話だ。


「なんでここにいるのよ……」


まさか自宅の最寄り駅で待ち伏せされているとは思ってもみなかった私は、ユキを前に、思わずスクールバックの持ち手を握り、体を強張らせた。


「電車一緒だからもしかしたら最寄り駅も一緒かもって思って、ちょっと待ってみた」


駅前のベンチに座り、足下にすり寄る野良猫と遊んでいたユキが、立ち上がりつつ呑気にふんわり笑う。


鼻先が赤くなっている。

今日はいったいどれだけ待っていたのだろう。


だけど、私の心模様は最悪だ。

幸いなことにこの駅を利用するクラスメイトはいないけれど、他のクラスの人に見られたらと思うと、その無神経さに無性に腹が立つ。

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