僕の庭
「そんな事まで、すまない」


「いいのいいの。

ああよかった、絵も何ともないみたいだわ」


ほっと息を吐いて、佳穂は僕の横に座った。
無傷だったキャンバスに描かれた自分を見て、えへへ、と笑う。


「これ、あたし? 随分綺麗に描いてくれてるわ」


「そうかな。君の良さが上手く出てない気がしてるんだけれど」


「あら、そんなことないわよ」


素敵だわ、と佳穂は何回も繰り返して言った。



「明日、この絵を完成させるよ。よければ明日も来てもらえないだろうか?」


「喜んで」


キャンバスに、はらりと花びらが舞い落ちた。





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