僕の庭
「こんなもの、本当に大したものではないし、趣味に合わないかもしれない。
君にはいらないかもしれないけど……」


「嬉しい」


かぼそい声で彼女は呟いた。


「え?」


「嬉しい、って言ったの」


佳穂は大事な宝物を扱うように、赤とんぼのブローチを胸元に留めた。


「気に入って、くれたんだろうか?」


「ええ、とても。とっても」

佳穂はブローチを両手で押さえて笑った。


えくぼが見えて、僕はほう、と溜め息を吐いた。

よかった。

僕は少し緊張していたのだろうか。ほっとして力なくへにゃりと笑った。


「それなら、よかった」


「あたし、これを大切にするわ。ありがとう。


耕介さん」








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