パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜
私は、いつもの如く、
「今日の私、お疲れさま」
自分で自分を褒める。

でも、本当に今日は頑張った〜。仕事が終わり、館内を出てゆっくり歩く。本格的に喉が痛くなってきた。早く帰ろう。

ふと、元谷さんの顔を思い出した。笑った顔が可愛くて……ニヤケてしまう。

私は家に帰り、もらったのど飴を舐めた。

「美味しい〜」

かなり元気をもらった。明日、ゆっくり休んで風邪を治そう。

次の日、とことん寝た。きっと疲れからきた風邪なのだろう。よく寝たら、かなり良くなった。

私の休みは、シフト制だ。今回は連休だった為、日曜日も休み。

「いい天気だぁ」

体調も良くなり気分がいい私は、部屋の掃除、洗濯をする。食欲は、あまりなかったので、スムージーを飲んだ。

ひと通り済ませると、テーブルに置いてあったスマホが点滅してる。

誰だろう?

兄からの着信だ……
やだ。かけ直したくない。

こんな時間にかかって来るということは……

ブルブル…

スマホが鳴った。驚いて通話を押してしまった。

「美結雨…」

「なっ、何?お兄ちゃん、どうしたの?」

「今、ヒマか?」

「ひっ、ヒマじゃないよ。これから出かけるの」

「どうせ、1人で出かけるんだろ?」

「帰りに店に寄れ」

「やっ、やだよ〜」

「お兄ちゃんのお店は、私には似合わないの」

「似合う、似合わないの問題じゃない。絶対に来い。わかったな!!」

きっ、切られた〜。

はぁ〜。

お兄ちゃんには、敵わない。

私は、出かける準備をした。

白のカットソーに黒のパンツ。黒のカーディガンを着る。ナチュラルメイクをして、鏡の前に立つ。

「綺麗になりたいなぁ……」

えっ?私、今なんて言った?

綺麗になりたい……うそ。私から、この言葉が出るとは……。

ありえない……。

まぁ、私だって女の子だから、綺麗な服を着こなしたいって思ったり、かわいいメイクに興味があった。カップルで歩いている人を見れば羨ましいって思うこともあった。

きっと、私だっていつかは大好きな人が出来て、その人も私を好きになってくれる……

夢見る夢子ちゃんは、白馬の王子様をずっと待っていたのだ。何も努力せずに……王子様もきっと、このままでも好きになってくれるよ。な〜んて、簡単に考えてた。でも、今となっては後悔している。

もっと綺麗になっていればよかった。そうしたら、告白する勇気もでたのに……


性格良し。イケメン。モテる要素しかない元谷さんが、年上で横にも縦にも大きい私に振り向くはずがない。しかも恋愛経験なし。何もかもダメダメな私。

はぁ〜っ、完敗だ。

今頃、綺麗になりたいなんていっても、神様は味方してくれない。

それでも神様にお願いしてしまう。

「どうか神様、私に味方をしてください」



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