君へ、愛の歌
好きになりました。
梅雨の季節。
この季節はむしむしして1番嫌いだ。

鬱陶しい雨の音が雑音を放つ。

音楽室に1人、音を奏でる。


「篠宮、まだ練習してたんだ。」
不意にドアから聞こえた声に肩を跳ねた。

そう言われ、時計を見ると7時を回っていた。

外は1日中暗かった為、全然気づかなかった。

「ごめんね!そろそろ帰るね!」
マイ楽器のフルートをケースにしまう。

片付けを急ぎ済ます。

「一緒帰る?」

予想外の言葉に驚きすぎて、一瞬固まってしまう。

「もう暗いしさ、女の子1人じゃ危ないから。」

〝女の子〟
そのワードに胸が高鳴る。

「奏くんに悪いよっ。大丈夫!」
恥ずかしさを紛らわすように明るく言う。
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