君の隣でみる夢
「このままだと胎児も危険だ。緊急オペで胎児を取り出し、同時進行で脳外科の医師が診察します。必要であれば開頭オペに入ります。」
柚葉と永遠の両親は処置に入っている永遠の代わりに産科の看護師から説明を受けていた。
「そんな・・」
柚葉の母の体から力がぬける。
「大丈夫なんですか?」
柚葉の父が母の体を支えながら看護師に質問をする。
「意識を失った原因が分からないことには対処できません。今は何ともいえません。何かわかり次第皆さんにご報告します。」
看護師は早口で伝えるとすぐに処置室に戻ってしまった。
永遠の母は隣に立つ永遠の父の手を握った。
「樹・・・」
永遠の父がその手を握り返す。
「大丈夫だよ。きっと大丈夫だ」
「・・・」
永遠の母、樹は過去の心の痛みを思い出していた。
父、湊はそんな樹の気持ちを察して大丈夫と繰り返す。

ただただ待つしかない時間が流れた。
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