君の隣でみる夢
「柚葉参加するの?」
「うん。」
体育の授業は柚葉にとってはかなり過酷だった。平衡感覚に障害のある柚葉は通常よりもかなり神経を使って行動している。
聞こえない耳を補うために目をよく使ったり、聞こえる方の左耳を酷使して夕方や夜に頭痛を起こしたり、体育の授業では転んだりいつも以上に神経を使い体調を崩すことがあった。

「今日はランニングだし。ライン見てれば走れるよ。単位ぎりぎりだし。」
「そう。無理しないでね。」
「ありがとう」
柚葉は屈託のない性格で友達も多かった。

柚葉はみんなからかなりペースが遅れてランニングをしていた。
少しずつ疲れてくるとグラウンドの白線がゆがんで見えた。
線の上を見て走ろうとしても体がどんどんと傾いて
ドンッ!「ごめん!」走ってくるクラスメイトにぶつかってしまった。
< 8 / 362 >

この作品をシェア

pagetop