キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「だいすけ、唯ちゃんこっち向いて~」

それからは、先生のカメラの嵐。

いつもだと恥ずかしいから、写真を嫌がる唯も。

久しぶりのだいすけとの再会に、心が緩む。

「ほらほら、ちょっと落ち着こう。」と

いつもは一番ハイテンションの美香さんに

注意されてしまうほど………。

一通り再会を楽しんで、ちょっと落ち着いた頃。

お兄さんと大樹君の姿が無いことに気がついた。

いつもは、唯が来る時は必ず待っててくれる大樹君がいないことを

不思議に思っていると。

「ドッキリ2……大成功?」と先生に聞かれた。

もちろん!!

大大大成功だよ!!

コクコク頷く唯を笑い

「これで終わりかなぁ~」なんて笑ってる。

ええっ?

まだあるの??

ちょっぴりドキドキしてる唯に

「急に赤ちゃんが産まれるかもよ!」と

美香さんにもからかわれる。

そのドッキリは……………ちょっと困る…………。

だってまだ予定日は先だもん。

二人にうやむやにされたことに気づかず

だいすけと遊びながらお茶にする。

「どうしてだいすけが?」

唯の疑問に

「『唯ちゃんが元気無い。』って悠人に連絡もらって。
家に遊びに来るっていうから
だいすけと会わせたら元気になるかなぁって思って借りて来たの。
どう?
元気になった?」

「ハイ、とっても!!
先生、美香さん。
ありがとうございます。」

ずっとやる気が起きなかったのが嘘みたい。

体に力が漲ってるって感じ。

ニコニコ唯を、優しい目差しで見守る先生に

「最高の休日です。
ありがとう。」って、もう一度お礼を言ってたら……………。

「「ただいまぁ~」」と

玄関からお兄さんと大樹君の声が聞こえた。

あっ、そうだった…………。

二人がいないことを、疑問に思ってたんだった。

「だいすけ、ちょっと待っててね。」

だいすけに声をかけて、大樹君をお迎えに行こうと立ち上がる唯を

「ストップ!!」と手を引いて

引き留める、先生と美香さん。

…………………??????

「唯ちゃんは、ここでだいすけと待ってて。」

さっき唯がだいすけに言った言葉を残して

二人は玄関に消えて行った。
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