キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
その後は、びっくりする程誰からもメールも電話もなくて………。

静かな時間になったの。

多分、みんな遠慮してくれたのかな?

けど………ずっと帰って来るのを待ってて。

籍を入れて、奥さんになって………。

ホントは、嬉しくて甘えたいのに。

あまりにも二人を意識させられて…………

ドキドキが止まらず

近寄れないの。

ご飯を向かい合わせで食べていても。

隣で一緒に食器を洗っていても。

悠を撫でてる時だって…………。




「唯。」

とうとう痺れを切らせた悠君に

捕まっちゃった。

ソファーに座って、いつもの位置に唯を抱き上げると。

「お願いだから………緊張しないで。
俺も…………ドキドキするから。
普段通りでいて。」って

唯の肩に頭を預けてボソボソと話す悠君。

もう!

その行動がドキドキするんだよぅ~

唯の気持ちを知ってか知らずか。

「いい匂い。」って………クンクン。

最近、悠の影響か…………

直ぐくっついてクンクンするの。

ますますドキドキする唯を抱きしめて

「何もしないから、安心して。
キス以上は、しないから。」って。

分かってないなぁ。

エッチが怖くて逃げてる訳じゃないのに………。

もちろん、怖いけどね。

先生でも、彼氏でもなくて………

旦那さんになったっていうのが、馴れないのに。

そっと唇を尖らせたら………

「分かってるよ。
彼氏だと思ってもらえたのも………
結構時間かかったしね。
ゆっくり馴れて。
明日…………指輪を買いに行こうかぁ。
結婚指輪。
嵌めるのは、式の後からだけど。
ちょっとは、実感が沸くかもよ。
取り合えず………………
帰って来た事に馴れてね!」

そう言うと…………

チュッ。

チュッ………チュッチュッチュッ。

「もぅ~」

唯が涙目になるまで続いたの。

時間にしたら…………

ホンの数分かもしれないけど。

十分帰って来てくれたんだって………実感した。
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