キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「先生……じゃなくて、悠君。
唯、一人で大丈夫だよ。
尋ちゃんや和也さんも一緒だし。
それより、お仕事頑張って。」

本音を言えば、先生と一緒が良い。

けど、いずれこの幼稚園の園長先生になるって聞いてからは………

唯のことよりも

幼稚園を優先して欲しいって考えちゃうの。

「唯。」

少し怖い声を出して、唯を向かい合わせで抱き寄せる。

「何回教えたら、俺の気持ちを理解してくれる?
俺にとって、唯よりも大切で優先することはないんだよ。
遠慮なんてしないで
『一緒に行こう!』って言ってくれる方が
俺が喜ぶって……そろそろ覚えて。」

「だって…………。」

そう言うと、ポロポロ涙が溢れる。

「何も決まってないブライダルフェアに行くよりも
お父さん達を優先させた方が………
先生の為だもん。」

本格的に泣き始めた唯をしっかりと胸に抱えて。

「唯ちゃんは良い子だけど………困ったちゃんでもあるよねぇ。
自分の価値が、まるで分かってない。
俺ももちろんそうだけど。
幼稚園の先生や保護者が、唯ちゃんを一人にするなんてありえないよ。
ましてや、結婚式の準備にって………。
もしも俺が、保護者を優先してバーベキューに参加したら
多分、お父さん達はもちろん。
お母さん達にまで総すかんを食らわされるよ。
先生達なんて『辞職します!』って、退職願いを出すよ………絶対。
唯ちゃんは、この幼稚園のみんなが大切にしてるんだよ。
その唯ちゃんを奥さんにもらうのに
粗末にしたら、幼稚園は休園になる。
だから、何も考えないで甘えたら良いんだよ。」
< 24 / 398 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop