キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
新たな一歩

戦う!

「大丈夫。
悠、大丈夫だからねぇ~
パパはもうすぐ帰って来るよ。」

リビングにパールのゲージを広げ、自由に遊ばせながら。

いつものソファーに悠を抱っこして

悠君の帰りを待っている。

今日は、腸の検査だから時間がかかると聞いている。

今は夕方。

ここまで電話が鳴らなかったということは………

癌の説明を聞かなくて良いって事。

もうすぐ帰って来るはず。

テーブルに置いた携帯が

今日は鳴らない事を祈りながら待っている。



ピンポン。

あっ、帰った!

………………良かったぁ~

悠を抱っこして玄関に行くと

「ただいま。」と唯と悠を撫でてくれる。

「悠君?」

早く『大丈夫だったよ』という声を聞きたくて

着替えの間も、追いかけているのに。

「ご飯とお風呂を済ませてから……
ゆっくり話すから、もう少し待って。」って言われたの。

ご飯とお風呂を先に…………。

それは、少し私を不安にさせる。

だって…………

この間癌の説明を聞くときもそうだったから。

ショックでご飯を食べなくなる事を想像した悠君は……。

唯の体調を考えて

先に全て終わらせてから、話したの。

「…………うん、分かった。」

少しでも早く説明が聞きたくて

温めるだけにしておいたご飯を用意する。
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