キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「香川さん。
香川さんは、昔……先生とお付き合いされていたんですよね?
先生のこと……好きでしたか?」

「当たり前じゃない。
…………悠人は……疑ってたけど……。」

振り向くと、今度は先生が驚いた顔をしていた。

「だったら、どうして?」

「私は……悠人のことが好きだったのに……信じて貰えず別れた。
その後は、色々な人とお付き合いしたけど上手くいかず。
結婚式場で人の幸せばかり祈っていた。
そんな時、応募の中に懐かしい人を見つけて
自分は叶わなかった悠人と、幸せになるあなたのことに興味を持った。
初めは、ホントに興味だけだったけど。
あなたを大切にする悠人と周りの人間が、私を排除すると
ドンドン憎らしく、妬ましくなってきて…………。」

そう言うと泣き出した。

「香川さん。
先生に信じて欲しかったら…………
先生を信じて大切にしないとダメなんですよ。
嫌がらせをしてたら、絶対誰も………信じてくれない。
私は……先生が大好きだから
何度嫌がらせをされても…………別れません!
それから…………………
先生の大切なこの人達と幼稚園を守ります。
………先生は以前、頑なだった私に
『北風と太陽』のお話みたいに………暖かい愛情を与えてくれて
私の心を………溶かしてくれました。
先生は、とっても暖かい人です。
だから…………
信じて大切にしたら、きっと良い関係が築けると思います。
香川さんは…………
始まりは、間違ってしまったけど。
…………………………………。
今からもう一度
新しく関係を結びませんか?」

「「「「……………………………!!!!」」」」

唯の提案に

先生もみんなも

香川さんも…………『信じれない』と呟いた。

ただひとり!

園長先生は笑って頷いて下さったけどね。
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