キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「……………先生だよ。」

「どの先生??」

「………先生。」

そう言って、先生のお鼻を押すと。

「ええっ?!
俺??」と、目を丸くした。

「えっ?
いつ??
ホントに俺が言った??」

「……………えっと…………。
『言った。』………………というか…………
そう言われるって、思ったの。」

「はぁ??」

分からないって顔で、続きを求める先生。

「さっき………
ちょっと自信が持てるようになったって言ったでしょう?
その時、最後にした大失敗の事を思い出して……。
あれから先生に
お仕事モードで怖い声を出されなくなったなぁ~って思ってたら
先生に「ご飯の後で話しがある」って言われて……
あの時のデジャブに思えたの。
だから勝手に
先生に最近のダメな事を注意されると思って……………。」

先生の表情に、唯の早とちりだと気づいた。

「なんだぁ~
『後で……』って事を気にしてたんだぁ。
俺は、美味しいご飯の時に仕事の話しはしたくなかったから。
『ご飯の後で………』って思って
言っただけなんだけどね!
不安にさせちゃったんだぁ~
ごめんね。
だったら、心配ないよ。
さっきも言ったけど、凄く成長したって思ってるから。
余分にお仕事を頼もうって思ったくらい。
なら、先にご飯を食べよう。
せっかくのご飯が、冷めちゃうから。」

そう言うと

さっきこのソファーに座ったように

私を抱き抱えて、キッチンに戻ったの。

……………………。

単なる早とちり??

呆気ない結末に、嬉しいはずなのに

何故だか、ガッカリしちゃった。
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