放課後の続き

旅行

結局俺は…………

答えを出せないまま、来週に控えた誕生日に焦っていた。

亨や後藤君。

桜ちゃんや玲奈ちゃんの意見も、二人を通して聞いてみた。

恥を忍んで、たか夫妻やマスターにまで相談したのに………。

みんなの意見を聞いても、フィフティーフィフティーだったんだ。

………………というのも、かなの本心があまりにも見えず。

隠して頑張ることが、得意なせいだ。

はぁ~。

どうしたもんかなぁ。

悩む俺は保健室の窓を開け、空気を入れ替えることにした。

「あぁ~あ。」

大きく伸びをして、小学生が走る校庭に目を向けた。

そこには………………

幼稚舎の子供たちを引き連れた先生の集団と………

その後ろを着いて歩き、小さな子供と手を繋いでいるかなの姿が………。

そう言えば………

今日から、教育実習だからと………

多岐さんにお弁当を頼んでいたような。

子供の頃以来の弁当箱に、はしゃいでたな。

ふ~ん。

先生っぽいじゃん!

普段見ることのない、真剣でたのしそうな表情のかな。

…………これが、憧れていた姿だったんだなぁ。



不意に、かなの本心が見えた気がした。

もちろん、俺はかなじゃないから………

本当に思っていることは、分からない。

けど………

かなが俺に伝えたかった気持ちの一部が…………

見えた気がする。
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