放課後の続き

つながり

「よぅ!」

相変わらず人の良さそうな顔をして

腹の黒い貴文が声をかけてきた。

「首尾はどうだ?」

俺の質問に

「バッチリ!」と笑顔で答える。

ホント、コイツは……………。

笑顔で『バッチリ』と言っているが。

首尾とは、オヤジさんの会長職退任を意味するのだ。

「そっちは?」

貴文の質問にやはり、バッチリと返した。

後30分もすれば、お兄ちゃんとかなの見合いが始まる。

かなの後輩……咲さんのお父さんやマスターと洋介さん。

かなのお祖父さんの元秘書まで出てきての

大がかりな見合いだ。

使える駒を、それぞれが集めた結果だが………

仕組んだのは、目の前で優雅にコーヒーを啜る

この男なのだ。

ホント、曲者だよなぁ。

もうすぐ貴文の下で働くマスターは

今から警戒心をつよめている。

コトン。

カップをテーブルに置くと………

「ヨシッ、行きますか。」と言って立ち上がった。

いよいよ最後の巻く引きにかかるようだ。

隣の部屋の、見合い会場の扉を開けると

「会長の不信任案が可決されました。」と冷静に告げた。

貴文の顔を見て、全てを悟ったオヤジさんは

ガタガタとイスから立ち上がり、飛び出した。

残されたお兄ちゃんとかなは…………

鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。

「「…………………………………どういうこと??」」

?マークの二人の元に

更なる登場人物が現れた。

「洋ちゃん?!」

「彰人?!」

「……………………………はぁ~ちゃん?!」
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