放課後の続き
戸惑う夏苗ちゃんの手を引いて

「ほらっ、行くぞ!」と強引に立たせる。

コラコラ、誠次君。

お兄ちゃんじゃなくて、一人の男としてって言ったでしょう。

いつまでもガキみたいな事してないで………

紳士に振る舞おうね!

ガキ大将で照れ屋の誠次に、女の子の扱い方のヒントを与えた。

「夏苗ちゃんは、病人だぞ!
優しく扱え。
……………………とは言っても、それ程酷くないから…………
帰りに買い物を、頼んで良い?
俺、来週出張だから
ネクタイを一本選んでおいて。
後、いつものケーキと雑誌。
あっ、夏苗ちゃん。
美味しいケーキだから、ついでに食べておいで。
栄養を取って、体力つけないとね!」と。

「なんで、俺がぁ~!!」

怒鳴る誠次なんて、怖くない。

「あっ、そう!
俺は別に、良いんだけどね~
貸し…………覚えてる?」

そう言うと

「分かったよぅ。
…………夏苗…………行くぞ。」と

まだまだ照れはあるものの

さっきとは違い、優しく手を繋いで歩き始めた。

真っ赤になる夏苗ちゃん。

「デート。
……………………楽しんでおいで。」

ソッと耳打ちしたら、小さく頷いた。

「可愛いねぇ~」

二人の姿に、素直な言葉が溢れた。

出来るなら…………

夏苗ちゃんの恋を、実らせてあげたい。

叶わぬ願いと知りながら…………

この数時間で、誠次の心が変わらないかと思ってしまう。

璃子と璃子のお腹の子供には、申し訳ないけど……………。

………………俺も大概……………シスコンかぁ??
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