放課後の続き
出発

忘れる……………られる?

「おはようございます。」

明るい笑顔で現れた夏苗ちゃん。

「元気になりましたね。」

教師用の挨拶で返すが………

内心は、昨日の出来事が気になって仕方ない。

誠次からの報告は………

『自分の気持ちをしっかり伝えて謝った。
夏苗は、笑顔で受け止めてくれた。
また、兄妹に戻れそうだ。』と、楽天的だった。

けど………

アホな誠次に、夏苗ちゃんの心の傷は理解できないはずだ。

表面上、笑ってくれてたら

『大丈夫だ!』と思ってしまう男だから…………。



「放課後、保健室にお邪魔しても良いですか?」

ホントは、直ぐにでも聞きたいが…………

今日は、会議が入っている。

それに

幾らスッキリした顔をしていても

我慢強い夏苗ちゃんのことだから。

正直に表してない事が、考えられる。

だったら、ウチでゆっくり聞いてあげたい。

「ごめんね。
今日の午後は会議なんだ。
明後日のお休みに、ウチに来ない?
多岐さんも心配してたから………
元気な顔を、見せてくれたら喜ぶんだけどなぁ~」

多岐さんをエサに誘うあたり………

大人って狡いよな。

夏苗ちゃんは、考えるまでもなく

「はい!
是非!!」とおおはしゃぎだ。

もう少し、詳しく話をつめておきたいところだけど。

生徒が次々登校し始めた今

あまり親しくし過ぎて、変な噂がたってしまうと

お兄ちゃんとして側に居ずらくなる。

自嘲して行動しないとなぁ。

亨じゃないが

問題行動は、控えておいた方が身のためだ。
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