宇宙で一番☆幸せな政略結婚
ふんわりと、優しい聖竜の腕があるとを包んでくれた。
とても暖かくて安心できる腕の中・・・。
あるとはそっと、聖竜の背中に手を回した。
「俺達、相思相愛だったんだな。随分と遠回りしたが」
「はい」
「もう二度と、別れるなんて言うな。心臓止まりそうだったんだぞ! 」
「ごめんなさい・・・」
「もういい。これから寒くなる、体冷やさないように気をつけような」
「はい・・・」
ぎゅっと抱きしめてくれる聖竜。
「あると・・・。やっと、名前呼べる・・・」
名前も名乗らず一夜を共にしてしまった相手は、結婚した聖竜だった。
何も知らない2人が偶然出会って、惹かれ会って一線を越えてしまった。
お酒のせいですっかり忘れていたあると。
だがなんとなく、体は覚えていた。
50億という大金で決まった結婚。
それゆえにお金で買われたと思い込んでしまったあると。
でもその壁を壊すために、聖竜は2ヶ月足らずで10億を用意して、50憶全額を宗一郎に返してしまった。
普通ではできそうもない事。
でもきっと、そこには計り知れない愛があったからできたのだろう・・・。
翌日。
聖竜は休みを取っていた。
竜太も特に予定がなく、半日で退社して帰ってきた。
竜太と聖香が揃ったところで、聖竜とあるとは子供が出来た事を報告に来た。
「おお! そうか、それはよかった」
「おめでとう、あるとちゃん。よかったわね」
竜太も聖香も大喜びしてくれた。
あるとは、一度、聖香に否定した事からちょっと申し訳ない顔をしていた。
「やっぱり私の勘は当たっていたわね」
聖香はあるとにそっと、微笑んだ。
「あるとちゃんが、前に違っていたって言ったけど。なんとなく、そうじゃない気がしていたの。やっぱり、聖竜に先に報告したかったのかな? って思ってね。そのうち解る事だし、そっとしておこうと思ったの」
「あ・・・すみません・・・」
聖香はお見通しだったようだ。
「それで、今どのくらいなんだ? 予定日はいつなんだ? 」
あるとは聖竜の顔を見た。
聖竜は「大丈夫だよ」と、あるとに微笑んだ。