宇宙で一番☆幸せな政略結婚

 その後も2人は、飲みながら話を続けていた。

 女性は、初めは小さな声で話していたが、だんだん慣れてくると普通くらいの声で話してくれるようになり、ちゃんと聖竜の顔を見てくれるようになった。


 他愛ない話しかしないが、とても癒される女性に、聖竜は胸の中がいっぱいになり思いが込みあがって来たのを感じた。



 結婚するけど。

 なんで結婚する前に、こんなにも胸がいっぱいになる人に出会ってしまったんだろう? 


 聖竜はそう思っていた。





 時間が経過して。

 22時を過ぎた頃、聖竜と女性は店を出た。


「・・・ごめんなさい、私の分まで払って頂いて・・・」

「気にするなよ。とっても楽しかったし。でも・・・もう帰るのか? 」


 聖竜に見つめられ、女性はすっと視線を落とした。


「まだ帰りたくありませんが。・・・もう、行く場所もありませんから・・・」

「まだ一緒にいてくれるのか? 」

「・・・はい。・・・できれば、まだ一緒にいたいと思います・・・」


 そっと、聖竜は女性の手を握った。


「じゃあ行こう。2人っきりになれる場所に」


 聖竜は女性の手を引いて歩き出した。






 2人が来たのは須薔薇シティーホテル。

 手際よく聖竜はダブルの部屋をとってくれた。



 このシティーホテルは高級ホテルで、夜景も綺麗な場所。


 ダブルの部屋でも広めでゆったりした部屋。


 窓際に用意されている椅子とテーブル。


 そこに座って、聖竜と女性はシャンパンを開けて乾杯した。

 グラスを重ねて、一口飲むとシャンパンの美味しさに女性は初めて笑みを見せた。


「ここのホテルはね、夜景が綺麗で人気なんだ。うちの会社、提携しているから良い部屋をいつも用意してもらえるんだ」

「そなんですね。・・・素敵な夜景、初めて見ました・・・」

「喜んでもらえて嬉しいよ。なんだか、付き合わせてしまって悪かったね。もう少し、
一緒に話しがしたかったから」


 ふと、女性は聖竜を見つめた。

 女性に見つめられると、聖竜はドキッとした。
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