宇宙で一番☆幸せな政略結婚
 

 結婚式を一週間後に控えた日。


「独身生活もあと一週間かぁ・・・」


 お気に入りの居酒屋で、聖竜は1人気楽に飲んでいた。


 すると。


 2人席に、見慣れない女性が1人いた。

 柔らかい茶色い髪が肩を越えて、軽くウェーブがかかっている。

 ほっそりした面長の顔だが、右目に眼帯をあてて、左手には包帯が巻かれている。

 かっちりした黒いスーツを着ているキャリアウーマンのようだが、ちょっと痛々しそうな女性。


 俯き加減で1人お酒を飲んでいる女性を見ると、聖竜は何故か胸がキュンとなった。


 カウンターで飲んでいた聖竜だが、女性が気になって飲んでいたコップを持って、女性のいる席に行った。



「あの・・・」

 聖竜が声をかけると、女性はビクっとして聖竜を見上げた。

 片方だけ見える瞳は、とても悲し気に揺れているが、綺麗な目をしている。


「すみません、突然驚かせてしまって。もし、お一人でしたら向かい側、座ってもいいですか? 」

 びっくりした女性だが、そっと頷いた。



 女性の向かい側に座ると、聖竜はじっと女性を見つめてしまった。

 なんだか胸がドキドキして、見ていると胸がキュンとなる女性に、聖竜は惹かれている事に気付いた。


「お仕事の帰りですか? 」

「・・・はい・・・」


 消えそうな小さな声で答える女性。


「俺も仕事の帰りです。ちょっとしか働いていないけど」

「・・・そうですか・・・」


「いつも、ここに来ているんですか? 」

「・・・いいえ・・・今日が・・・初めてです」


「そうだったんですね。お酒は、飲める方なんですか? 」

「あまり・・・飲めません。でも・・・今日は、仕事が最後の日で・・・自分で、お疲れ様と・・・思って・・・」


 答えるたびに、何かに怯えるような目をしている女性を見て、聖竜は悲しみを感じた。


「仕事が最後とは、退職されるのですか? 」

「はい・・・結婚が、決まって・・・」


「結婚? そうですか。それは、おめでとうございます」

「・・・ありがとう・・・ございます・・・」

「奇遇ですね。俺も、結婚するんですよ。後1週間で」


 え? と、女性は聖竜を見た。

 目と目が合うと、ちょっと照れたように女性は視線を落とした。

「・・・おめでとうございます・・・」

 恥ずかしそうに女性は言った。

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